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CLTS

村全体で決心し、村全体で取り組むトイレ作り。過去さまざまなNGOがトイレを作り、放置されてきました。しかし、CLTSによってトイレを使う世帯が急上昇。その秘密とは・・・

CLTSとは

CLTSは、Community Led Total Sanitationの略です。
AFMETでは、コミュニティ主導全村環境衛生活動と訳しています。村全体で環境衛生活動に取り組むことを決め、全村で改善していく、住民が主体となったプログラムです。バングラディッシュではじめられたといわれています。

トリガリング

村の住民全員が集まり、みんなで環境を変えていこう! それをちゃんと実行しよう! と最初の取り組みを始めるのが「トリガリング」です。この日をきっかけにCLTSが始まります。

さぁ、みんなで取り組もう!

マップ作り

村の住民全員に集会所のような場所に集まってもらいます。そこで、床を使って村の地図を全員で描きます。
私の家がここで、あなたの家はここ。道があって、そしてここに川があって・・・。など皆でワイワイ地図を作り、自分たちがどんな環境で生活しているのかを目で確認します。

あなたの村を描いてください。

あなたのトイレはどこ?

地図が出来上がったら、次にいつもどこでトイレを使っているかを一人一人にマークしてもらいます。
「ぼくはいつも家の裏だな。」「おれはここだな。」「えー! そこは私の家の裏じゃない!」などと皆自由に排泄していることがだんだんと明らかになります。マークは描いた地図に黄色の砂をまいて場所を示します。

さぁ、砂をまいてみて。

地図全体が黄色に

こうした進行はすべてファシリテーターが進行します。ファシリテーターはAFMETスタッフがなります。
進行役のカギは答えを言わないことです。黄色い砂でマークした地図。地域には雨も降るでしょう。すると地図はいつしか村全体が黄色になってしまうことに住民は気づきます。

だんだん村の様子がわかってきました。

髪の毛が入ったコップの水は飲める?

ファシリテーターはここで、みんなに違うことを聞きます。髪の毛を一本取り出し、それを水の入ったコップに浸します。
「みなさん、この水を飲むことはできますか?」すると住民は「髪の毛が入ったくらいなら、飲んでも大丈夫だよ。」と答えます。
次にファシリテーターは村の中から取ってきた人の排せつ物に髪の毛をちょっとつけて、そのままコップに浸します。「この水は飲めますか?」と再び尋ねると、みんな一様に飲めない!と答えます。

トイレを使わないということ

「今、コップにつけた髪の毛はハエの足と同じです。みなさんの身の回りにはハエがたくさん飛んでいます。ハエは好きなところにとまり、そのまま食卓にもやってきます。」「足元の地図を見てください。真っ黄色の土地、どこにでもハエはとまることができるのです。ハエがとまった食べ物を食べることはどういうことだと思いますか?」この問いかけに住民は徐々に気づき始めます。トイレを使わないということの事態の重大さに。

住民の気づき

ファシリテーターは「打開策はトイレを作ること」ということは一言もいいません。住民が気づき、そのことを口にするまでじっと待ちます。
今まで様々なNGOなどが「トイレ」設置の重要さを説き、トイレを設置してきました。しかし、ほとんど使用されずに放置されています。それは、トイレの重要さをいくら聞いても、実感できなかったからです。しかし、住民はこのCLTSのプログラムを通じて、トイレの必要性を実感としてとらえ、理解していきます。
そして、自分がトイレを作って使えば、自分の家庭だけではなく地域全体を変えることにも気づきます。この気づきが住民の行動を変えます。

トイレ作りは宣言から

トイレの重要さに気づいた住民は、何をいつまでに作るかを計画し、それを実行することを宣言します。
名前、活動、開始日、終了予定日を記入した紙に、住民の前で署名します。

トイレ作りも住民の力で

署名を終えた住民は、続いてトイレ作りを始めます。しかし、それも自分たちで作ることを推奨します。穴はみんなで力を合わせて掘ったり、うまくできたトイレは他の家の参考にしたり、協力して作り上げます。中にはなかなか取り組まない家もあります。そこはファシリテーターと住民で根気よく寄り添い説得します。全員の意識が変わるには、とても時間のかかるものなのです。

完成したすべて手作りのトイレ

屋外排泄しない!宣言

ほぼ全村にトイレが設置ができた時点で、保健省と郡行政からトイレ設置完了検査を受けます。この検査を通り認定された村は、この快挙を住民全員で祝います。そして重要な宣言をします。「屋外排泄しない!」宣言です。トイレの重要さも理解し、そして自分たちで作ったトイレはちゃんと利用され、村の衛生環境も改善されていきます。

AFMETの現地コーディネーターとして派遣されていた佐藤邦子が当時在東ティモール日本大使館のホームページに寄稿したコラム「私の見た東ティモール -人々と共に生きる『トイレプロジェクトを通して』-」でも紹介されています。
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